株式市場の決算発表で勝つための投資情報の収集方法は?

作成日:2021年10月08日
株式市場の決算発表で勝つための投資情報の収集方法は?

企業決算のチェックポイント

1 決算発表スケジュール

ポイント:決算月末から1~1.5ヶ月が最も集中して決算が発表される期間

今回のテーマは「企業決算のチェックポイント」です。しかし、決算の具体的な話に入る前に、そもそも決算はいつ発表されるものなのか、その時期を改めて押さえておくことにしましょう。日本の上場企業の大半は3月期の決算です。ですので、3月期の決算企業を例にスケジュールを確認します(表1)。

表1(決算発表スケジュール)
発表時期発表内容
1月下旬~2月上旬 第3四半期決算
4月下旬~5月上旬 通期決算(本決算)
7月下旬~8月上旬 第1四半期決算
10月下旬~11月上旬 第2四半期決算

念のため、具体的にトヨタ自動車<7203>の過去の決算発表日を例に見ておきましょう(図1)。18年3月期の第1四半期決算を8月4日、第2四半期決算を11月7日、第3四半期決算を2月6日、通期決算を5月9日に発表しています。上記のスケジュールに合致していることがわかりますね。

図1(トヨタ自動車HP)
図1(トヨタ自動車HP

決算発表における注目点は、(1)予想に対する実績(進捗率、本決算だと予想数値そのもの)、(2)前年同期比の増減率です。投資経験を積むに連れて、他にも細かな注目点はいくつも出てきますが、やはり本質的な部分はこの2点に絞られます。

2 決算数値の確認

ポイント:フィスコWebやフィスコアプリで簡単チェック!

3月決算企業の大まかな決算発表スケジュールについて先ほどご説明しましたが、当然株式投資をするうえでは具体的な決算発表日を押さえておく必要があります。株についての情報を提供しているサイトやアプリなどで確認できます。

図2 株探HPより
図2 株探HPより
図3 フィスコWebより
図3 フィスコWebより
図4 フィスコアプリより
図4 フィスコアプリより
図5 楽天証券アプリ iSPEEDより
図5 楽天証券アプリ iSPEEDより
2-1 決算数値の掲載場所

ポイント:決算数値を確認する際は「日経新聞」や「TDnet」が便利!

決算数値を確認する際に使用するのは、ヤフーファイナンスなどのサイトでも「決算速報」という形式で、その日に発表された決算情報を簡単なニュースとして配信しているので、そちらを確認するのが最も簡単な方法でしょう。しかし、保有を考えているもしくは保有している銘柄などについては、面倒くさがらずに「決算短信」を確認する必要があります。この決算短信については、東京証券取引所が無料で提供している適時開示情報閲覧サービス「TDnet」も便利です(図6)。

図6 TDnetより
図6 TDnetより

TDnetは、Timely Disclosure networkの略です。「より公平・迅速かつ広範な適時開示を実現するために、上場会社が行う適時開示に関する一連のプロセス、すなわち東京証券取引所(以下「東証」という)への事前説明(開示内容の説明)、報道機関への開示(記者クラブや報道機関の本社の端末への開示資料の伝送)、ファイリング(開示資料のデータベース化)、公衆縦覧(開示資料の適時開示情報閲覧サービスへの掲載)を総合的に電子化したシステム」です(東証HPより)。適時開示(簡易説明ですが、決算など有価証券の投資判断に重要な影響を与える情報のことです)を行う場合は、必ずこのTDnetを利用することが義務づけられている他、任意開示(こちらも簡易説明ですが、法令や規則によって開示が定められていないその他の情報のことです)の場合においても、できるだけTDnetでの開示が推奨されているので、殆どの情報はTDnetで確認することができます。

また、日経新聞(日本経済新聞)の「投資情報」のページには、決算情報がまとまっているので、こちらでも数値は確認することができます(図7)。
(当然、日経新聞電子版でも確認することができます。(図8~図10)※全て日経新聞電子版より引用)

図7 日本経済新聞
図7
図8 日経新聞電子版
図8
図9 日経新聞電子版
図9
図10 日経新聞電子版
図10
2-2 四半期決算ごとのチェック項目

ポイント:進捗率は25%、50%、75%が基準!

まず四半期予想(この形式は稀です)、上期予想(=第2四半期累計)、通期予想といった会社計画に対して、実績がどのような着地となったのかを確認することになります。いわゆる「進捗率(達成率)」と呼ばれるものです。また、そもそも予想(会社計画)自体に変更がないかも忘れずに確認しなければなりません。

通期予想しか出しておらず、なおかつ利益偏重傾向もない場合は、第1四半期の時点で会社計画に対する進捗率が25%、通期の半分である上期の時点で50%超、第3四半期の時点で75%となっているか否かをチェックします。この数値をクリアないし沿った順調な推移となっていれば、好感されることが多いです。ただし、そうは言ったものの、あくまでもこの数値は目安であることを認識しておく必要があります。なぜなら、先ほど触れた「利益偏重傾向」に注意する必要があるからです。

少し極端ではあるのですが、3月決算企業のフマキラー<4998>を例に見てみることにしましょう。殺虫剤で有名な企業ですね。どの虫を対象とするかなど、製品にもよるので断定はできませんが、殺虫剤は通常春を基準にその前後に需要が増加することが多いです。その逆を言えば、冬の時期は需要が減退するということですね。図11はフマキラーの業績推移です。こちらを見ると、第1四半期(4~6月)と第4四半期(1~3月)に売上と利益が偏っている傾向があるとわかります。反対に需要が減退する第3四半期(10~12月)は赤字です。こういった会社毎の特徴を理解しておかなければ、進捗率などを正しく捉えることはできません。また、こういった利益の傾向に加えて、企業買収や単発の大型案件の寄与(剥落)など個別要因をさらに考慮していくことになるため、25%、50%、75%というのはあくまでも基本的な目安ということになります。

図11 フマキラー
図11

また、「伸び率」も忘れてはいけないチェックポイントです。単発の大型案件の寄与(剥落)の影響なども考慮して数値を評価する必要があるという点については、「進捗率」と共通する点なので、少し解説しておきたいと思います。

今回は大型案件の剥落の影響を受けたM&Aキャピタル<6080>を例に見ていきます。同社の18年9月期の会社計画は営業利益で前期比6%増の38.75億円でした。これに対して、4月27日に発表した第2四半期決算では、営業利益は前期比1.2%減の23.02億円という着地です。この時点で減益ではありますが、第1四半期が19.5%減の着地だったため、大幅にマイナスを取り返していることになります。しかし、7月27日に発表した第3四半期決算で再び10.8%減となったことで、大型案件の剥落影響をカバーしきれないとの見方が一気に強まり、株価も急速に調整トレンド入りすることになりました(図12)。

ただ、同社の過去の第3四半期及び第4四半期の利益の状況を考慮すれば、第2四半期で大幅にマイナスを取り返していたとしても、計画値を達成することができる可能性が「高くはない」ことは予測可能です(当然、計画を達成できる可能性がゼロだったと言っているわけではありません)。すると、リスクを完全に抑えるために売却、もしくはリスクを最小限に抑えるために保有株数を減らしておくなどの対応が導かれることになるのです。

最初のうちは、保有を検討している銘柄や保有している銘柄に絞らず、練習だと思って、様々な企業の決算で(1)予想に対する実績(進捗率)(2)前年同期比の増減率を見てみると良いかもしれません。

M&Aキャピタルパートナー<6080> 東証1部 週足 2017年3月3日~2019年1月29日
図12 M&Aキャピタルパートナー<6080> 東証1部 週足 2017年3月3日~2019年1月29日
図12(楽天証券マーケットスピードより)
2-3 復習

ポイント:少しずつチェック箇所を広げていくことが大事!

ここで、決算短信の見方について少しだけ復習しておくことにしましょう。上部の赤枠で囲った部分で決算の着地を確認、下部の赤枠で囲った部分で会社計画を確認します。特に会社計画については、変更の有無も忘れずに確認する必要があります。

図13 ティーライフ(株)19年7月期決算短信より
図13 ティーライフ(株)19年7月期決算短信より

また、企業毎に表記が異なるため、あくまで一般的な話になりますが、経営成績に関する説明が出てきます。こちらでは企業が置かれている経済、業界環境などについて記載があります。また、その中でどういった施策や取り組みを行ってきて、どのような結果(業績)となったのかが説明されます。全体の話が終わると、セグメント(「事業」と言い換えて良いと思いますが)、セグメント毎の細かい状況について開示している場合もあるので、注目です。

最低限、数値(図14)のチェックを行えば良いと説明しましたが、レベルが上がってくるにつれて、こういった説明部分にまで細かくチェックの範囲が広がってくることになります。なお、最終的な目標としては、損益計算書やキャッシュフロー計算書などを自分の目で確認するところまでとなります。しかし、そこまで到達するには時間がかかるため、できるところから少しずつで良いので、取り組みましょう。

図14 ティーライフ(株)19年7月期決算短信より
図14 ティーライフ(株)19年7月期決算短信より

決算の確認する部分の知識を少し広げるという意味で、今回は複数年の確認、利益とキャッシュフローの推移を確認してみましょう。下記のRIZAPグループ(旧健康コーポレーション)の2015年3月期から2018年3月期までの通期決算短信をご覧ください。

図15 RIZAPグループ(旧健康コーポレーション)15年3月期決算短信より
図15 RIZAPグループ(旧健康コーポレーション)15年3月期決算短信より

2015年3月期は営業利益と営業活動によるキャッシュフローに大きな乖離はありません。

図16 RIZAPグループ(旧健康コーポレーション)16年3月期決算短信より
図16 RIZAPグループ(旧健康コーポレーション)16年3月期決算短信より
図17 RIZAPグループ(旧健康コーポレーション)17年3月期決算短信より
図17 RIZAPグループ(旧健康コーポレーション)17年3月期決算短信より

おやっと思うのは、2016年3月期の決算です。50.6億円もの営業利益をたたき出しているのに、営業活動によるキャッシュフローはわずか6.4億円です。ただ、一時的な減少かもしれませんので、単年度で判断するということはしません。むしろ、利益成長スピードの加速が株価の上昇を引き起こすというようにも見えます。

2017年3月期は営業利益102.1億円にたいして、営業活動によるキャッシュフローは1.7億円とさらに減少しました。利益成長スピードはさらに加速していますが、単年度でなく複数年度での営業利益と営業活動によるキャッシュフローの大きな乖離が観測されました。利益の成長スピードは加速しており、株価の上昇は続く可能性があるものの、やはり何か違和感があると考える局面です。

利益急増の背景を簡単に述べると、負ののれんという買収に絡む利益を計上になります。買収会社の株式を安く買うことができたので利益を計上したものでした。ただし、安く買える会社は、それなりに問題があるからこそ安い訳であって、将来的に立て直しに失敗すると、利益を圧迫することになります。

図18 RIZAPグループ 18年3月期決算短信より
図18 RIZAPグループ 18年3月期決算短信より

時間を進めてみましょう。2018年3月期決算です。営業利益は135.9億円まで拡大した一方、営業活動によるキャッシュフローは0.8億円とさらに減少しました。利益の成長スピードも減速し、株価は2017年末1,500円超をピークに下落を始めます。2018年11月には2019年3月期の営業利益が33億円の赤字になる旨が発表されました。買収した会社の経営再建が遅れたことなどが要因です。株価は200円台まで下落しています。利益と営業キャッシュフローの関係など、損益計算書だけでなく、その他の財務諸表も重要ということが理解いただけたでしょうか。

また、重要な点なので何度も繰り返していますが、決算で確認すべき点は利益の伸び(四半期や通期など)が加速しているのか、四季報の予想と比較して乖離がないかなどになります。そして、利益の伸びが加速している企業、四季報の予想と比較して乖離がある企業などを中心に、株価のトレンドチェックへ移行し、実際に投資をするか否かの具体的な検討に入っていくことになります。もちろん、利益が連続して増益になっている企業を選ぶにこしたことはありませんが、従前に見て頂いた通り、連続増益でも利益の成長スピードが加速していなければ株価が上がり難い状況を思い出してみて下さい。

決算発表による株価の動き

3 決算反応における6つのパターン

ポイント:「意味がわからない」と投げ出しては成長できない!

今回は決算発表に対する株価反応について、投資家の方が「なぜそう反応するのか…」と頭を悩ませる6パターンについて紹介したいと思います。一貫して「業績」の重要性をお伝えしてきたこともあり、基本的にはその面から解説を行います。自分が予想していた株価反応とは異なる状況を目にした時、「意味がわからない」と、考えることを辞めてしまう方も多いのですが、よくよく分析すればその理由が明らかであることも多いです(もちろんアルゴリズムトレードなども普及してきており、不明な値動きもないわけではありません)。自ら思考することのできる投資家になるために、学んでいきましょう。

3-1 上方修正なのに株価が上がらない

ポイント:「サプライズ感」と「利益の加速」

この事例では東証1部のヤーマン<6630>を取り上げてみましょう。同社は2018年11月19日の大引け後に業績予想の上方修正を発表。上期(第2四半期)の営業利益予想は従来の26.5億円から42.3億円に、通期では50.2億円から64.4億円にそれぞれ引き上げました。なお、通期の営業利益予想については上方修正によって、減益予想から一転、前期比19.7%増の見通しとなり、市場コンセンサス(64.15億円程度)も上回る見込みとなりました。ここまでの流れを見る限り、文句なしのポジティブな上方修正という印象です。

図19 ヤーマンの営業利益の予想数値
図19 ヤーマンの営業利益の予想数値

しかし、実際の株価反応は異なります。その理由を説明していきます。まず、第1四半期実績を見てみると、営業利益は前年同期比36.0%増の22.4億円となっていました。つまり、上方修正を発表する前から、「上振れは当然するだろう、そもそも減益予想が保守的過ぎる」との見方が強かったのです。そういったなかで発表する上方修正は、株価インパクトという観点で大事な要素である「サプライズ感」が小さくなります。

図20 ヤーマン 19年4月期 第1四半期の連結業績
図20 ヤーマン 19年4月期 第1四半期の連結業績

そして、次に業績(上方修正の内容)を詳しく見ていきます。17年4月期、18年4月期、19年4月期の第1四半期及び第2四半期(上方修正発表時点では推測値ですが)の営業利益の伸び率を見てみると、図21のようになります。第1四半期時点で利益の伸びが減速、第2四半期時点でさらにその動きが顕著になっていることがわかります。

図21 ヤーマンの営業利益 3期比較(17年→18年→19年)
図21 ヤーマンの営業利益 3期比較(17年→18年→19年)

また、第1四半期同士の比較ではなく、今度は第1四半期と第2四半期を比べてみましょう(図22)。すると、17年4月期は8.9%の伸びを見せていたにもかかわらず、19年4月期には約11%の減少となっていることがわかります。

図22 ヤーマンの営業利益の伸び比較(1Q→2Q)
図22 ヤーマンの営業利益の伸び比較(1Q→2Q)

もちろん利益の伸び率が鈍化していても素晴らしい好業績銘柄であることは変わりませんし、成長可能性がゼロだと言っているわけでもありません。しかし、株価の一番美味しいところ(大きく上昇するところ)は「利益(成長性)が加速している時期」というポイントから考えれば、上方修正に対する市場反応があまり良いものでなくなってしまうことは理解できるでしょう。2018年10月頃からは市場全体の状況が非常に悪かった影響ももちろん大きいのですが、上方修正を発表してからの株価はご覧の通りとなっています(図23)。

ヤーマン<6630> 東証1部 日足 2018年8月24日~2019年1月28日
図23 ヤーマン<6630> 東証1部 日足 2018年8月24日~2019年1月28日
図23(楽天証券マーケットスピードより)
3-2 下方修正なのに株価が下がらない

ポイント:事業撤退や下方修正は100%悪いわけではない!

この事例では東証1部の大阪チタニウム<5726>を取り上げてみましょう。同社は11月28日の大引け後に業績予想の下方修正を発表。ポリシリコン事業からの撤退による影響等で通期の営業利益予想を従来の18億円から15億円、当期純損益も従来の8億円の黒字から一転、15億円の赤字にそれぞれ引き下げました。これだけをみると、非常に悪い印象を受けます。しかし、この事例の場合も実際の株価反応は異なります。

図24 大阪チタニウム 19年3月期通期業績予想
図24 大阪チタニウム 19年3月期通期業績予想

少しわかりにくいかもしれませんが、18年3月期の第1四半期と第2四半期は黒字転換、第3四半期は前四半期比で57.9%増となっています。19年3月期の第1四半期は成長が鈍化しているものの、第2四半期で一気にこれを取り返してきていることがわかります。

図25 大阪チタニウムの営業利益 3期比較(17年→18年→19年)
図25 大阪チタニウムの営業利益 3期比較(17年→18年→19年)

為替水準が想定よりも円安傾向で推移したこと、一部取引先に対し出荷時期の前倒しがあったことなどが背景となっているので、この「持続性」の判断で保有継続か売却かが決まるわけですが、第3四半期への期待感を持つ人が一定数残ることは不思議ではありません。
また、「事業の選択と集中」による経営の効率化も長期的に期待できるといった視点もあります。実際の株価は高値圏にあったことから、下方修正がいったん利食いのきっかけになり、11月29日は一時1969円まで下落する場面もありました。しかし、実際の終値は2102円とわずか前日比40円安となっています(それだけでなく、11月30日には一時2213円まで上昇)。

大阪チタニウム<5726> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図26 大阪チタニウム<5726> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日図26(楽天証券マーケットスピードより)
3-3 達成率が高いのに株価が上がらない

ポイント:「達成率」だけで業績は判断できない!

この事例では東証1部の江崎グリコ<2206>を取り上げてみましょう。同社の19年3月期の上期営業利益予想は前年同期比25.8%減の115億円、通期では前期比11.7%減の180億円です。これに対して、10月31日の大引け後に発表した上期の着地は128.74億円と予想を上振れました。通期計画の達成率も71%と好調です。ここまでの情報では、同社も良い状況にあるように思えます。しかし、この事例の場合も実際の株価反応は異なります。

図27 江崎グリコの19年3月期の第2四半期 営業利益予想と実績値
図27 江崎グリコの19年3月期の第2四半期 営業利益予想と実績値

実は同社の第1四半期時点の営業利益は前年同期比8.7%減だったのですが、第2四半期の段階では17%減に減益幅が拡大しているのです。上期計画を上回っているものの、通期計画の11%減ペースを上回る状況であり、決算に対する株価反応は冴えない展開となりました。

図28 江崎グリコの営業利益 2期比較(18年→19年)
図28 江崎グリコの営業利益 2期比較(18年→19年)
江崎グリコ<2206> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図29 江崎グリコ<2206> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図29(楽天証券マーケットスピードより)
※株価は12月に堅調に推移していますが、こちらはディフェンシブ系の銘柄に物色が向かった影響と見られます。
3-4 達成率が低いのに株価が下がらない

ポイント:通期計画に対する達成率が低くても、その後の成長期待が大きいと株価はすぐに切り返す場合も

この事例では東証1部のソースネクスト<4344>を取り上げてみましょう。同社の19年3月期の上期計画は営業利益ベースで前年同期比9.2%増の4.78億円、通期では前期比101.9%増の24.99億円となっています。これに対して、11月8日の大引け後に19年3月期の第2四半期決算を発表。営業利益は前年同期比15.8%増の5.07億円となり、上期予想を上振れました。しかし、通期計画の増益率を見るとやや頼りなく見えてしまいます。

図30 ソースネクストの19年3月期の第2四半期 営業利益予想と実績値
図30 ソースネクストの19年3月期の第2四半期 営業利益予想と実績値

ただし、図31をみればわかるように利益の伸びは第1四半期、第2四半期と増加が続いています。また、同社は翻訳機「POCKETALK(ポケトーク) W」が非常に話題となった銘柄でもあります。明石家さんまさんが出演されている同製品のCMをご覧になった方も多いでしょう。サイバーセキュリティ、インバウンドなどの人気テーマ性も有していることも追い風に、達成率が低かったものの、下期以降の成長期待が大きく、株価はすぐに切り返す格好となっています。

図31 ソースネクストの営業利益 3期比較(17年→18年→19年)
図31 ソースネクストの営業利益 3期比較(17年→18年→19年)
ソースネクスト<4344> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図32 ソースネクスト<4344> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図32(楽天証券マーケットスピードより)
3-5 コンセンサスを上回ったのに株価が上がらない

ポイント:コンセンサスは重要!ただし多角的な視点を忘れずに!

この事例では東証1部の小松製作所<6301>を取り上げてみましょう。同社は10月29日の大引け後、19年3月期の第2四半期決算を発表。売上高は前年同期比13.7%増の1兆3180.41億円、営業利益は同80.2%増の2003.07億円でした。営業利益はコンセンサス(1,810億円程度)を上回る着地。

図33 小松製作所 19年3月期第2四半期の連結業績
図33 小松製作所 19年3月期第2四半期の連結業績
合わせて通期計画も修正。売上高は従来の2兆5,030億円から2兆6,620億円、営業利益も3,390億円から3,810億円とコンセンサスに近い水準までそれぞれ上方修正しています。
図34 小松製作所 19年3月期通期業績予想
図34 小松製作所 19年3月期通期業績予想
図35 小松製作所の営業利益 3期比較(17年→18年→19年)
図35 小松製作所の営業利益 3期比較(17年→18年→19年)
小松製作所<6301> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図36 小松製作所<6301> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図36(楽天証券マーケットスピードより)

また、週足でみれば一目瞭然ですが、2018年の1月をピークに調整基調が継続しており、本格的なリバウンドの流れにまで戻るにはインパクトが不足していた面もあるでしょう(図37)。こうした全体感のなかで、コンセンサスを上回っても株価が上がりきれないというパターンもあります。だからこそ、個別銘柄の情報収集や分析だけではなく、全体相場の見極めなども必要になってくるわけですね。

小松製作所<6301> 東証1部 週足 2017年3月3日~2019年1月29日
図37 小松製作所<6301> 東証1部 週足 2017年3月3日~2019年1月29日
図37(楽天証券マーケットスピードより)
3-6 コンセンサスを下回ったのに株価が下がらない

ポイント:コンセンサスを下回った=悪いという単純な図式とはならない!

この事例では東証1部のエイチ・アイ・エス<9603>を取り上げてみましょう。同社は2018年12月11日の大引け後に18年10月期の決算を発表しました。売上高は前期比20.2%増の7285.54億円、営業利益は同13.3%増の180.24億円で着地。営業利益は従来計画の173億円を上振れましたが、コンセンサスはやや下回る形となりました。さて、コンセンサスを下回った同社株価はいったいどのように推移したのか、みていくことにしましょう。

図38 エイチ・アイ・エス 18年10月期の連結業績
図38 エイチ・アイ・エス 18年10月期の連結業績

この場合は、コンセンサスを下回った要因に焦点があたりました。具体的には天災の影響を受けたものとされ、主力の海外旅行の領域などは想定以上に好調でした。つまり、避けようのない天災の影響を考慮すれば、良い決算内容であったという評価になるわけです。
また、同社に関しては19年10月期の通期営業利益予想は前期比11.0%増の200億円を計画、こちらもコンセンサス予想を10億円ほど下回ってしまったものの、市場では保守的な計画なだけだと捉えられ、ネガティブな反応は限定的でした。

図39 エイチ・アイ・エス 19年10月期の連結業績予想
図39 エイチ・アイ・エス 19年10月期の連結業績予想

図40を見ると、全体相場の影響を受けて大きくチャートが崩れている銘柄が多い時期(特に2018年の12月)でも、株価は緩やかな上昇基調を維持していることがわかります。このように、細かく見ていくと、コンセンサスを下回った=悪いという単純な図式とはならないということがわかりますね。

エイチ・アイ・エス<9603> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図40 エイチ・アイ・エス<9603> 東証1部 日足 2018年8月27日~2019年1月28日
図40(楽天証券マーケットスピードより)
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