バーチャル株主総会とは?オンラインで参加できる株主総会を徹底解説
作成日:2021年12月17日 更新日:2021年12月17日新型コロナウイルスが感染拡大して以降、株主総会を実施することが困難になった企業は少なくないです。
株主総会は、株式会社における最高の意思決定機関と言われており、会社にとって最も重要な事柄について決める場で、一部の例外を除いて株式会社は必ず開催しなくてはいけないものとなっています。
そして、コロナ禍前からも注目はされていましたが、新型コロナウイルスが蔓延してより注目が集まったのがバーチャル株主総会です。
当記事では、バーチャル株主総会とはどのような株主総会なのか、実施方法やサービス事例などまとめて解説していきます。
この記事の要点 |
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・バーチャル株主総会は、オンリー型、参加型、出席型の3種類に分けられる ・ハイブリット参加型バーチャル株主総会は、株主総会への法律上の「出席」を伴わずにインターネット等の手段を用いて審議等を傍聴できる株主総会 ・ハイブリット出席型バーチャル株主総会は、リアル株主総会の開催に加えてインターネット等の手段を用いて会社法上の「出席」をすることができる株主総会 ・DX化によるPR効果や株主の公平性・平等性の確保など多くのメリットがある ・総会前〜総会後まで丸ごとサポートしてもらえるサービスならSharely、コスト面や拡張性を重視するならFISCOバーチャル株主総会プラットフォームをチェック |
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それでは早速、バーチャル株主総会について確認していきましょう。
バーチャル株主総会とは
バーチャル株主総会とは、インターネットを通じて株主総会を実施することで、株主が株主総会の会場へ実際に来場しなくてもWeb会議システムなどを用いて株主総会に参加できます。
従来までは会場を用意して株主総会を開催してきた企業が多いですが、新型コロナウイルス拡大により、株主総会をどのように開催すればよいのかが問題となりました。
コロナ禍以前から経済産業省は、バーチャル株主総会の促進を推奨していましたが、新型コロナウイする拡大を受け、株主と企業の変革のビジョンを共有し迅速・果断な意思決定を行う重要性がさらに問われ、バーチャル株主総会への関心が高まりました。
今回は、バーチャル株主総会の詳細について説明を行っていきます。
【比較】3種類のバーチャル株主総会
引用元:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド-経済産業省
バーチャル株主総会は、バーチャルオンリー株主総会、ハイブリット参加型バーチャル株主総会、ハイブリット出席型バーチャル株主総会、の3種類に分けられます。
現在注目されているハイブリッド型バーチャル株主総会は、リアル株主総会を開催する一方で、リアル株主総会の場に行けない株主でもインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加、出席することを許容する形態です。
さらに、ハイブリッド型バーチャル株主総会は「参加型」と「出席型」に分けられます。
次に、3種類のバーチャル株主総会について詳しい説明を行っていきます。
バーチャル株主総会の種類① バーチャルオンリー株主総会
バーチャルオンリー株主総会は、リアル株主総会を開催せず、株主と取締役等のすべてがオンラインで出席する株主総会です。
2021年6月に会社法の一部が改正されたため、一定の条件下でバーチャルオンリー型株主総会の実施が可能になりました。
メリット
遠方の株主を含む多くの株主が出席しやすく、株主や取締役等が一堂に会する必要がないため、今後新たな感染症が拡大した際のリスクを低減できます。
また、物理的な会場が必要なく、運営コストの低減を図ることができます。
デメリット・注意点
株主がインターネット等を使用可能であることが前提となっています。会社側は、インターネット等の手段によるスムーズな参加に向けて環境整備も重要になってきます。
また、法律面で、上場会社であり経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合に限り、株主総会を「場所の定めのない株主総会」とすることができます。
この旨を定款に定めた上場会社については、バーチャルオンリー株主総会の開催を可能としています。
ただ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえ、産業競争力強化法の施行(2021年6月16日施行)後2年間は、経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた上場会社については、定款の定めがあるものとみなせるとしています。
つまり、2年間は定款変更の株主総会決議を経ることなく、バーチャルオンリー株主総会の開催が可能となりました。
導入・実施方法
導入・実施方法は、企業が提供しているバーチャル株主総会プラットフォームを活用すると円滑にオンラインで株主総会を開催できます。
サービス事例
株式会社ブイキューブが運営するバーチャル株主総会サービスです。
株主総会の完全オンライン開催をトータルでサポートする「バーチャルオンリー株主総会配信サービス」を、2021年6月16日より提供開始しています。
ブイキューブは、「コミュニケーションのDXカンパニー」企業として、時と場所に制限されない働き方を実現するためのソリューションを提供しています。
年間約5,000回のライブ配信運用実績を持ち、「参加型」・「出席型」の両方にも対応しています。
配信成功にコミットするプロフェッショナルなスタッフによってサービスが提供され、トラブルの影響を最小化させるシステム冗長化構成がされており、トラブル時の徹底した対策運用が行われます。
バーチャル株主総会の種類② ハイブリット参加型バーチャル株主総会
引用:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド-経済産業省
リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会に足を運べない株主が、株主総会への法律上の「出席」を伴わずに、インターネット等の手段を用いて審議等を傍聴できる株主総会です。
メリット
バーチャルオンリー型株主総会と同様に、遠方の株主の株主総会参加及び傍聴機会の拡大、さらに複数の株主総会を同時に傍聴することが容易になりました。
また、会社側は、参加方法の多様化による株主重視の姿勢をアピールでき、株主総会の透明性が向上します。
デメリット・注意点
株主がインターネット等を使用可能であることが前提となっており、オンラインでの参加に向けた環境整備が重要になってきます。
「参加型」は、オンラインで参加している株主が議決権を行使できず、リアル株主総会の様子を視聴することのみにとどまります。
また、オンリー型株主総会とは異なり、会場の設営も行うためコストがかかることに加えて、肖像権への配慮など細かいところへの対応も重要になってきます。
導入・実施方法
導入・実施方法は、企業が提供しているバーチャル株主総会プラットフォームを活用する と円滑にオンラインで株主総会を開催できます。
サービス事例
「最良の投資支援サービスを提供するプロフェッショナル集団」FISCOが運営するバーチャル株主総会プラットフォーム、FISCOバーチャル株主総会プラットフォームです。
安全性が高く、適切なデータ管理及びセキュリティ監視を行っています。
株式会社Kushimが配信システムの提供、サポートを行っており、柔軟に最新ソリューション機能の導入が可能で、適宜システムのバージョンアップが行われます。
「参加型」・「出席型」のバーチャル株主総会の両方に対応しており、国内初のAIにより同時文字起し機能・同時通訳機能の搭載が可能で、海外投資家とのコミュニケーションがより便利に、よりスムーズに行えます。
既に、エスプール、クシム、シーズメン、ナンバーワン、フィスコの上場企業5社で導入されています。
フィスコでは上記特徴のバーチャル株主総会プラットフォームを提供しています。
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バーチャル株主総会の種類③ ハイブリット出席型バーチャル株主総会
引用:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド-経済産業省
リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会の開催場所に在所しない株主が、インターネット等の手段を用いて、株主総会に会社法上の「出席」をすることができる株主総会です。
メリット
バーチャルオンリー型株主総会、ハイブリット参加型バーチャル株主総会と同様に遠隔地にいる株主の出席機会の拡大、複数の株主総会に出席することが可能になります。
さらに、「出席型」は、オンラインで参加している株主が議決権を行使でき、リアルタイムで質問したり投票したりといったことが可能になります。
つまり、参加型のバーチャル株主総会とは異なり、会場に足を運んでいる株主と同等の権限をもちます。
オンラインでのチャット機能により質問の形態が広がることで、株主総会における議論が深まり、個人株主の議決権行使の活性化につながる可能性も高まります。
株主総会の透明性の向上に加えて、出席方法の多様化による株主重視の姿勢をアピールできます。
デメリット・注意点
円滑なバーチャル出席に向けた関係者等との調整やシステム活用等の環境整備に加え、株主がインターネット等を活用可能であることが前提となっています。
質問の選別が行われ、議事の恣意的な運用につながる可能性があり、濫用的な質問が増加する可能性も高まります。
さらに、バーチャル株主総会を開催している企業はまだ少ないため、どのような場合に決議取消にあたるかについての経験則が不足している現状です。
また、事前の議決権行使に係る株主のインセンティブが低下して当日の議決権行使がなされない結果、議決権行使率が下がる可能性も指摘されています。
導入・実施方法
導入・実施方法は、企業が提供しているバーチャル株主総会プラットフォームを活用すると円滑にオンラインで株主総会を開催できます。
「出席型」に対応しているプラットフォームを選択することも重要です。
サービス事例
株式会社コインチェックが運営するバーチャル株主総会サービス、Sharelyです。
コインチェックが約500社とオンライン総会商談を行い、知見をノウハウ化しており、雛形として、株主総会歴10年のベテランスタッフが2名でサポートする体制が整っています。
「参加型」・「出席型」の両方に対応、オンライン機器の選定/レンタル、会場設営や レイアウト提案、招集通知雛形まで丸ごと支援してくれて、総会前〜総会後まで丸ごとサポートしてもらえるサービスとなっています。
既に、ユーザーベース、スペース、ギフティ、マネーフォワード、フィードフォース、ツクルバ、など大手企業6社で導入されています。
バーチャル株主総会の事例
2020年6月の株主総会では、上場会社のうちハイブリッド「出席型」は9社、ハイブリッド「参加型」は113社で実施されました。
ソフトバンクグループは、議長を含めたすべての役員がウェブ会議システムを通じて遠隔から出席し、リアル会場には来場しませんでした。
グリーやZホールディングスは、リアル株主総会の会場を従来のイベントホールから大きく縮小し、会場に出席する株主の人数も大幅に減らしました。
そのほか、肖像権等への配慮や配信遅延の対応、通信障害や本人確認など企業によって様々な対応を行っており、各企業が柔軟にバーチャル株主総会を開催しています。
2021年8月26日には、ユーグレナが日本で初めてバーチャルオンリー型株主総会を開催しました。
開催後のアンケートにおいては、株主の99.5%の株主が「評価する」と回答しており、物理的な距離や時間的な制限なく株主総会に出席できることが大きく評価されました。
また、2021年9月29日には、freeeもバーチャルオンリー型株主総会を実施しました。
そのほか、バーチャルオンリー型株主総会の開催を行うために、Zホールディングスやソフトバンクグループは2021年6月の株主総会で、定款変更の決議を行いました。
来年度から、バーチャルオンリー型株主総会を実施する企業が増加していくことが想定されます。
フィスコでは各社で導入され始めているバーチャル株主総会プラットフォームを提供しています。
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バーチャル株主総会が注目を集める理由
バーチャル株主総会が注目されている理由は5つあります。
それぞれ確認していきましょう。
BCP対応
バーチャル株主総会を行うことで、自然災害や感染症の拡大等の有事の際にも株主総会を止めることなく開催可能のため、企業のBCP評価にも繋がります。
BCPとは、災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画(Business Continuity Planning)のことです。
BCPの目的は、自然災害やテロ、システム障害など危機的な状況に遭遇した時に損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し早期復旧を図ることにあります。
DX化によるPR効果がある
リアルオンリーの株主総会からバーチャル株主総会を導入することで、IRのDX化推進のアピールになります。
また、事例の少ないバーチャル株主総会(特に出席型での事例)に取り組むことで、先進性、個人株主尊重の姿勢をPRできる可能性があります。
株主の公平性・平等性が確保できる
これまでは会場に足を運ばなければ株主総会に参加できませんでした。
バーチャル株主総会を実施することで、距離、所在に関係なく、遠方の株主でも参加・出席可能になるため、より多くの株主が参加でき、株主の公平性・平等性確保可能になります。
海外在住の株主の方も、当日質問することが可能です。
議決権集計不正を防止できる
バーチャル株主総会システムを導入することで、議決権行使のデジタル化により不正防止が可能になります。
株主名簿管理人の不正な議決権数の集計(株主総会での賛成、反対の数をきちんと数えていなかった等)が防止できます。
デジタル化により議決権の行使書が期限内に郵送されていたにもかかわらず、集計から外れるという問題が起こりません。
また、株主が議決権行使書を郵送する手間も省けます。
コスト削減
これまでは、会場費・控室、お水・お土産代、警備費、運営人権費(当日の受付会場案内、施設内案内、マイク案内、スライド・機材設置などに必要な運営人員)など多くの人員と費用がかかっていました。
バーチャル株主総会を駆使することで、リアル株主総会の際に必要だった会場費用、人件費、お土産代、運営費用等の削減が可能になります。
ただ、バーチャル出席型株主総会だと、リアル株主総会会場を小さくしてもオンラインでの参加者が従来よりも多くなると、システム利用料や安全に開催するためのセキュリティ料がその分発生して、大きなコスト削減にはならないこともあります。
また、バーチャルオンリー型株主総会でも、その分システム料やセキュリティ料が多くかかるため、大きくコストが削減されるとは限りません。
あくまで、株主の公平性や平等性の確保、従来よりも簡単に株主総会に参加するために、オンラインでの株主総会の開催が重要視されています。
バーチャル株主総会に関するよくあるQ&A
バーチャル株主総会について知った上で、実施に関する疑問を持っている方は多いでしょう。
よくある質問をまとめたので、バーチャル株主総会の実施を検討している方は参考にしてみてください。
株主の本人確認は?
ハイブリッド型バーチャル株主総会においては、株主総会当日にリアル出席株主とバーチャル出席株主それぞれに対して本人確認を行うことが必要です。
オンラインで出席する株主の本人確認は、事前に送付する議決権行使書面等に、固有のID とパスワード等を記載して送付し、株主が送付された ID とパスワード等をログインする際に使用する方法が妥当と考えられています。
リアル株主総会への代理人出席に比べて、代理人のバーチャル出席の要請は少ないと考えられていますが、会社側が仮に代理出席の取扱いを行う場合は、代理人の出席はリアル株主総会に限定することも妥当と考えられているようです。
また、オンラインで株主総会に出席する場合、なりすましの危険性が高まります。
今後はなりすまし防止のために、二段階認証の導入やブロックチェーンの活用も考えられています。
株主が議決権を行使する場合は?
バーチャル出席株主の議決権行使は、事前の議決権行使としての電磁的方法による議決権行使ではなく、当日の議決権行使が重要視されます。
事前に議決権を行使した株主は、審議に参加するために本人確認としてのログインを行いますが、その時点では事前の議決権行使の効力を取り消さずに維持されます。
ただ、当日の採決のタイミングで新たな議決権行使を行うと、事前の議決権行使の効力が破棄されますが、ログインした後、採決に参加しなかった場合には、当然事前の議決権行使の効力が維持されます。
会社側は、インターネット等の手段でバーチャル出席した株主が株主総会当日に議決権を行使できるようシステムを整える必要があります。
株主が質問と動議をする場合は?
株主が質問と動議をする場合は、バーチャル株主総会プラットフォームにおけるチャット機能等でテキストを送ることになります。
その後、議長が質問内容を確認した上で当該質 問を取り上げるか否かを判断します。
経済産業省では、1人が提出できる質問回数や文字数、送信期限などの事務処理上の制約、個人情報が含まれる場合や個人的な攻撃等につながる不適切な内容は取り上げないなど、あらかじめ運営ルールとして定めて、招集通知やweb上で通知するよう考えています。
動議については、提案株主に対し提案内容についての趣旨確認や提案理由の説明を求めることが想定されるため、リアル株主総会への参加を促し、リアル出席株主からの動議のみを受け付けるようにすることも提案しています。
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バーチャル株主総会のまとめ
新型コロナウイルスの感染が拡大し、感染防止対策からリアルでの株主総会を開催するのが困難になっている中、日本ではまだバーチャル株主総会が普及しているとは言えない状況です。
オンラインで株主総会を開催している実例が比較的に少なく、経験不足な点が企業の導入をためらわせているのかもしれません。
この記事の要点 |
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・バーチャル株主総会は、オンリー型、参加型、出席型の3種類に分けられる ・ハイブリット参加型バーチャル株主総会は、株主総会への法律上の「出席」を伴わずにインターネット等の手段を用いて審議等を傍聴できる株主総会 ・ハイブリット出席型バーチャル株主総会は、リアル株主総会の開催に加えてインターネット等の手段を用いて会社法上の「出席」をすることができる株主総会 ・DX化によるPR効果や株主の公平性・平等性の確保など多くのメリットがある ・総会前〜総会後まで丸ごとサポートしてもらえるサービスならSharely、コスト面や拡張性を重視するならFISCOバーチャル株主総会プラットフォームをチェック |
バーチャル株主総会は、遠隔地にいる株主が気軽に株主総会へ参加・出席でき、会社側にとっては企業のDXアピールや株主対応の良さなどに繋がり、双方にとって大きなメリットがあります。
バーチャル株主総会の特徴をよく理解し、会社側が初回のオンライン株主総会を問題なく実施することができれば、2回目以降はスムーズに簡単にオンラインで株主総会を開催できるかと思います。
是非、自社に合った形式でのバーチャル株主総会を実施してみてください。
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