仮想通貨の無期限先物とは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説
仮想通貨の無期限先物とは、期限のない先物取引のことです。
現物取引や通常の先物取引とは異なる特徴も多いため、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、仮想通貨の無期限先物についての仕組みやメリット・デメリットなどをお伝えします。
- 仮想通貨の無期限先物は、受け渡し・決済日の期限がない先物取引
- 無期限先物価格と現物取引価格の乖離を調整するために資金調達の仕組みがある
- 保有しているポジションや資金調達率によって手数料を受け取るか支払うかが変わる
- 無期限取引のショートでヘッジをかければ価格変動のリスクを回避できる
- フルヘッジを行うと価格上昇時のリターンを享受できない点には注意が必要
- 国内取引所で無期限先物を取り扱っているのはFTX Japanだけ
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仮想通貨の無期限先物とは?
仮想通貨の無期限先物取引は、「パーペチュアル取引」や「永久先物取引」などと呼ばれたりします。
無期限先物取引を理解するために、まず現物取引と先物取引の違いを確認しておきましょう。
現物取引と先物取引の違い
現物取引は一般的な取引の形式です。
1BTC=300万円の時に1BTCを購入すると、300万円を支払う代わりに1BTCを手に入れます。
1BTC=500万円になったタイミングでビットコインを売却すれば、手元には200万円の利益が残ります。
ビットコインは決済の手段としても利用できるため、ビットコインの形で保有して買い物などの代金としても使えます。
現物取引の場合はその名の通り現物を手に入れる取引なので、反対売買(売却)をすることも可能ですし、そのまま売却せずに保有し続けたり他の用途に利用したりすることも可能です。
一方、先物取引は「将来の一定時点での契約をあらかじめ決めておく契約」のことです。
例えば1BTC300万円の時に、今後ビットコインが下がると考える人とビットコインが上がると考える人が3ヶ月後にビットコインを500万円で売買する契約を結びます。
3ヶ月後にビットコインが600万円になっていると予想する人は500万円で購入すると100万円の利益となります。
逆に、3ヶ月後にビットコインが200万円に下落すると予想する人は、500万円で売却すると儲かるわけです。
契約の時期が到来したら、ビットコインの実際の価格に関係なく契約は履行されます。
その時の価格が当初約束した価格よりも高ければ買い手の勝ち、売り手の負けとなります。
約束した価格よりも下がっていれば、売り手の勝ち、買い手の負けとなります。
上記の例では、「3ヶ月」と期限を決めて取引を行いましたが、仮想通貨の無期限先物取引では期限を決めずにこの取引を行います。
現物取引と違う点としては、取引の対象となるものを実際に受け渡すことはなく、現金のやり取りのみとなるという点です。
これを「差金決済取引」と呼び、差金決済取引では必ず決済売買を行う必要があります。
現物取引では購入した仮想通貨をそのまま決済手段に利用することもできますが、差金決済取引では購入したら必ず売却し、売りから始めたら必ず買い戻さなくてはいけないということです。
このように、現物取引と従来の先物取引、無期限先物取引は取引の形が異なります。
2022年6月現在、無期限先物取引を取り扱っている国内の取引所はFTX Japanのみとなっています。
仮想通貨取引に慣れてきた人や、無期限先物に興味のある方は、FTX Japanの公式サイトを確認してみてはいかがでしょうか。
仮想通貨の無期限先物の仕組み
仮想通貨の無期限先物には、現物価格と無期限先物の価格が乖離しすぎないように「資金調達(ファンディング)」という仕組みが用いられています。
具体的には、現物価格と無期限先物価格の価格が乖離しやすい方のポジションを持っている人に手数料をかけ、逆の方のポジションを持っている人に手数料を払うことで価格を調整しています。
無期限先物価格が現物価格より高い場合
無期限先物価格が現物価格よりも高いということは、無期限先物の購入量が多いことを示しています。
無期限先物の価格を現物価格に近づけるためには、無期限先物を買っている人に売ってもらえばよいということになります。
買い(ロング)ポジションに手数料徴収というデメリットを上乗せし、売り(ショート)ポジションに徴収した手数料を支払えば、手数料支払いを嫌がってロングポジションを解消するトレーダーが増えるのです。
すると、ロングポジションが減ってショートポジションが増えることで、無期限先物の価格が現物価格に近づくように調整されます。
無期限先物価格が現物価格より安い場合
無期限先物価格が現物価格よりも安いということは、無期限先物がたくさん売られていることを示しています。
これを調整するためには、無期限先物を買うメリットを増やす必要があります。
売り(ショート)ポジションに手数料徴収という負担を課し、買い(ロング)ポジションに手数料受け取りというメリットをつけることによって、先ほどの逆の現象が起こります。
買いが増えて売りが減ることによって、無期限先物価格と現物価格との乖離が小さくなります。
資金調達率の決まり方
資金調達率は、無期限先物価格が現物価格からどれだけ乖離しているかによって異なります。
実際の資金調達手数料は、この資金調達率にポジションの数量をかけて算出されます。
資金調達手数料=ポジション数量×資金調達率(%)
資金調達率がプラス(+)の場合は、ロングポジションを持つ人がショートポジションを持つ人に対して手数料を支払うということを表しています。
逆に、資金調達率がマイナス(―)の場合は、ショートポジションを持つ人がロングポジションを持つ人に対して手数料を支払います。
買い(ロング)ポジション | 売り(ショート)ポジション | |
---|---|---|
資金調達率がプラス(+) | 手数料を支払う | 手数料を受け取る |
資金調達率がマイナス(―) | 手数料を受け取る | 手数料を支払う |
実際の資金調達率がどのくらいになるかを確認してみましょう。
以下は、FTX Japanでのビットコインの無期限先物の資金調達率の推移です。
FTX Japanでは、1時間に1回のタイミングで資金調達が発生し、自動で確定されます。
画面右側に表示されているレートが資金調達率です。
プラスの手数料が多いため、ロングからショートに支払う手数料が多いということがわかります。
FTX Japanは国内取引所で唯一無期限先物が取引できる取引所です。
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仮想通貨の無期限先物のメリット
仮想通貨の無期限先物のメリットを確認していきましょう。
主なメリットは以下の3点です。
- レバレッジをかけて効率的に取引可能
- ポジションを無期限に保有し続けられる
- ヘッジをかけて取引できる
レバレッジをかけて効率的に取引可能
無期限先物取引は、従来の先物取引と同様にレバレッジをかけて取引可能です。
少ない元手であったとしても、効率よく大きな利益を狙えます。
元手資金が30万円だとしても2倍のレバレッジをかけることによって60万円分の取引が可能だということになります。
ただし、日本国内の取引所ではレバレッジは2倍までに制限されているため、それ以上に大きなレバレッジでの取引はできません。
また、レバレッジをかけるとうまくいった時の利益が大きくなる分、損をする際の損失額も大きくなる点に注意しましょう。
仮想通貨のレバレッジ取引については、こちらの記事も参考にしてみてください。
ポジションを無期限に保有し続けられる
通常の先物取引では月単位や四半期単位、年単位などで受け渡しの期限が定められます。
期限が到来したらその時の価格に関わらず決済取引を行わなくてはいけないため、強制的に勝ち負けが確定します。
無期限先物取引の場合は受け渡し・決済日の指定がないため、理論的には永久的にポジションを保有し続けられます。
不利なタイミングで決済せずに、長期的にポジションを持ち続けることも可能です。
資金調達率を得られる方のポジションを保有していれば、中長期保有することによって利益が得られる場合もあります。
売りから取引を始められる
無期限先物取引は、売り(ショート)から取引を始めることも可能です。
そのため、相場の下落局面においてもリターンを狙って取引できます。
通常の先物取引と異なり、無期限にポジションを保有し続けられる点が特徴です。
また、現物取引と組み合わせることで、価格変動によるリスクをヘッジすることが可能です。
具体的には後ほど説明しますが、価格下落のリスクを自分である程度ヘッジできる点はメリットと言えるでしょう。
このように、仮想通貨の無期限先物は現物取引や従来の先物取引にないメリットが多々あります。
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仮想通貨の無期限先物のデメリット
無期限先物のデメリットも確認しておきましょう。
- ヘッジを行う場合は価格上昇時のリターンを得られない
- 資金調達率によっては不利になる可能性もある
ヘッジを行う場合は価格上昇時のリターンを得られない
後述しますが、ショートによるヘッジを行うと価格下落時のリスクを回避することが可能です。
しかし、ヘッジをかけることによって価格が上昇した時のリターンを享受できないというデメリットもあります。
仮に100万円で購入したビットコインが1,000万円になったとしても、同量のショートポジションを保有していれば損益が相殺されてしまいます。
フルヘッジが向いている人は、一気に大きくリターンを得たいというよりも、リスクを抑えてコツコツ稼ぎたいという人でしょう。
資金調達率によっては不利になる可能性もある
無期限先物の取引を行う際は、資金調達手数料(ファンディングコスト)が発生します。
資金調達率は、現物価格と無期限先物価格との乖離を調整するためのものなので、乖離の仕方によってプラスかマイナスかが異なります。
資金調達率がプラスの場合はロングポジションがコストを支払い、ショートポジションが受け取るという形になります。
資金調達率がマイナスの場合はこの逆です。
資金調達手数料は自動で確定されるため、自分の取引しているものの資金調達率をよく確認しておかないと、大きな負担となる可能性もあります。
このように、仮想通貨の無期限先物にはいくつか注意点もありますが、基本的にリスクをしっかりと理解して取り組めば有効な取引手段です。
FTX Japanでは、無期限先物(パーペチュアル)取引を取り扱っており、10銘柄で無期限先物取引が可能です。
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仮想通貨の無期限先物でのヘッジの仕方
仮想通貨の無期限先物では、売り(ショート)ポジションを持つことも可能です。
これを利用して、価格変動のリスクをヘッジしつつリターンを狙うことができます。具体的に説明していきましょう。
まず、現物の仮想通貨を購入します。
仮に1BTC(300万円)を所有したとすると、このビットコインが200万円に下がった場合は100万円の損失となります。
この損失リスクを避けるために、現物と同じ量の売り(ショート)ポジションを保有します。
ビットコインの価格が200万円になった場合、現物取引の方では100万円の損が出ますが、無期限先物のショートポジションの方では反対に100万円の利益となります。
ショートポジションはロングポジションと逆の損益となるため、損益が相殺されるということです。
同じ量の現物とショートを保有していれば、損益が常に相殺されるために、価格変動のリスクがヘッジされるということになります。
無期限先物のヘッジで利益が出る方法
無期限先物でヘッジを行うと、損益が相殺されて価格変動によるリスク・リターンはないものとして捉えられます。
ただし、無期限先物には「資金調達」の仕組みがあるため、ポジションを保有することで手数料を受け取れます。
資金調達率がプラスの時に無期限先物のショートポジションを保有していれば、手数料が自動的に計算されて利益として受け取ることが可能です。
うまく運用できれば、資金調達手数料で年間10%程度のリターンを得ることもできるでしょう。
ここで注意したいのが、手数料を受け取れる方のポジションを保有することです。
資金調達率がマイナスの時にショートポジションを保有していたとしても、手数料は受け取れず、逆に支払う必要があります。
暴騰・暴落相場では無期限先物価格と現物価格に乖離が生まれやすく、資金調達率も大きく変動することがあるので注意しましょう。
また、無期限先物価格と現物価格にほとんど乖離がない場合も、資金調達率が0に近くなってしまうため、手数料を受け取るメリットが小さくなります。
フルヘッジによる両建てトレードは、特にレンジ相場において相性の良いトレードです。
現在はビットコインを含む仮想通貨全般が下落していますが、今後の動向についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
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仮想通貨の無期限先物のまとめ
今回は、仮想通貨の無期限先物の仕組みやメリット・デメリットについて解説しました。
- 仮想通貨の無期限先物は、受け渡し・決済日の期限がない先物取引
- 無期限先物価格と現物取引価格の乖離を調整するために資金調達の仕組みがある
- 保有しているポジションや資金調達率によって手数料を受け取るか支払うかが変わる
- 無期限取引のショートでヘッジをかければ価格変動のリスクを回避できる
- フルヘッジを行うと価格上昇時のリターンを享受できない点には注意が必要
- 国内取引所で無期限先物を取り扱っているのはFTX Japanだけ
国内取引所で無期限先物に対応しているのは、2022年9月時点ではFTX Japanのみとなっています。
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