ディフェンシブ銘柄とは?おすすめの銘柄例・業種をわかりやすく解説
「将来のため、老後のために投資を始めたい」という長期的な資産形成を目指している人には、リスクを抑えた投資が適しています。
「リスクを抑えた投資がしたい人」や、「ハイリスクな投資が怖い人」にぜひ検討いただきたいのが、「ディフェンシブ銘柄」への投資です。
ディフェンシブ銘柄は、比較的リスクが低く、安定した成長が見込める銘柄のことを指します。
今回の記事では、ディフェンシブ銘柄について解説していきます。
- 景気の動向に影響を受けにくい株式は「ディフェンシブ銘柄」と呼ばれる
- 食品やヘルスケア、電力、通信などの業界がディフェンシブ銘柄に該当する
- 景気の動向に影響を受けやすい銘柄は「景気敏感株」と呼ばれる
- 安定性の高いディフェンシブ銘柄は長期投資に向いている
- ディフェンシブ銘柄でも、リスクが無いわけではない
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ディフェンシブ銘柄とは?
「ディフェンシブ銘柄」の「ディフェンシブ」とは「防御的」の意味であり、「ディフェンシブ株」や「ディフェンシブ・ストック」などと呼ばれることもあります。
景気の動向に影響を受けにくい銘柄を指し、業績や株価が比較的安定しているのが特徴です。
たとえば、食品業界やヘルスケア・医薬品業界などの生活必需品や、電力・ガスなどのライフライン、鉄道や通信事業といった社会インフラは、景気の状況にかかわらず一定の需要があるものと考えられます。
これらのように、景気の変動に左右されずに需要が見込まれるものを取り扱う企業の株式が、ディフェンシブ銘柄に該当します。
反対に、景気の動向によって業績が変動しやすい銘柄は「景気敏感株」や「シクリカル銘柄」、「景気循環株」などと呼ばれます。
景気敏感株は、景気の動向により業績が変動しやすいため、それにともなって株価も変動しやすいという特徴があります。
分類 | 特徴 | 業界の例 |
---|---|---|
ディフェンシブ銘柄 | 景気の変動による影響を受けにくい | 食品、ヘルスケア・医薬品、電力、ガス、鉄道、通信事業 |
景気敏感株 | 景気の変動による影響を受けやすい | 自動車、不動産、物流、航空、旅行、レジャー、高級品 |
景気の浮き沈みに左右されにくい「ディフェンシブ銘柄」は、業績や株価が暴落しにくいため「守り」に強く、景気が不安定な時に注目される傾向があります。
一方、株価が変動しやすい「景気敏感株」では、暴落のリスクはあるものの大きな利益も出しやすいため「攻め」に強く、景気が好調な時に注目される傾向があります。
上の表にて「ディフェンシブ銘柄」「景気敏感株」それぞれの業界の例も記載しましたが、この例はあくまで参考情報と捉えてください。
たとえば、「ディフェンシブ銘柄」に分類されている食品業界でも、ぜいたく品や高級品を主力製品としている企業などの場合は、景気の変動による影響を受けやすいと考えられます。
ぜいたく品や高級品は多くの人にとって生活必需品ではないため、景気が良い時には消費が増え、景気が悪い時には消費が落ち込む傾向にあります。
このように、「この業界なら必ずディフェンシブ銘柄に該当する」といった決まりはありませんので、業界はあくまで目安のひとつと考えて、投資を行う際は個々の企業について詳しく調べるようにしましょう。
ディフェンシブ銘柄のメリット
ディフェンシブ銘柄への投資には、以下のようなメリットがあります。
リスクを抑えて投資ができる
ディフェンシブ銘柄は、低リスクで投資ができる点が魅力のひとつです。
需要が安定している事業内容のため、長期投資を考えている人に向いている銘柄と考えられます。
そのため、一時的な株価の変動があったとしても、必要以上に価格に気を取られることなく、企業の健全性や収益性といった銘柄分析に注力することができます。
また、他にハイリスクな銘柄に投資をしている人であれば、リスクのバランス調整にも効果的です。
ハイリスク銘柄に加えてディフェンシブ銘柄にも投資をすることで、ポートフォリオのリスクが分散され、全体的なリスクが軽減されます。
リスクを抑えて長期的に投資をするには、ディフェンシブ銘柄が適しています。
景気変動の影響を受けにくい
ディフェンシブ銘柄は、景気動向による影響を受けにくく、常に一定の需要が見込まれる事業に属しています。
予期せぬトラブルが発生した場合は、通常、生活に不必要と考えられるものから消費が減っていきます。
たとえば、人間が生活するうえで食料は必要ですので、不況時でも食品業界の需要が無くなることは考えにくいでしょう。
もちろん、景気敏感株と考えられる旅行株やレジャー株なども「生活を豊かにする」という意味では必要ですが、食品とは異なり、それが無ければ人々の生活が成り立たないというものではありません。
ディフェンシブ銘柄は、不況時にも比較的安定した業績を維持しやすいため、株価が安定しやすい投資先と考えられます。
パンデミックのように予測が難しいような出来事が発生した際にも、暴落に強いと考えられます。
景気変動の影響を受けにくく安定した成長が見込まれ、安心感が得られるため、投資家の心理面でのメリットがあります。
ディフェンシブ銘柄のデメリット
ディフェンシブ銘柄には、以下のようなデメリットがあります。
短期間での大きな収益は見込めない
最も大きなデメリットは、短期間における収益性が低いことです。
多くのディフェンシブ銘柄は、短期的な投資で大きな利益を狙いたい場合には向いていません。
リスクが低い投資先は、得てしてリターンも低くなります。
景気変動による暴落が起きにくければ、同じように暴騰も起きにくく、大きな利益を出す機会に恵まれにくい点がデメリットと考えられます。
短期間で大きな収益を狙いたい場合は、ディフェンシブ銘柄よりも景気敏感株のほうが適しています。
景気動向により株価が変動しやすい景気敏感株なら、利益を得るチャンスが多いでしょう。
景気敏感株に短期投資を行う場合は、景気の底(買い時)の見極めが難しい可能性や、景気が上を向いても株価が回復しない可能性もある点には注意しましょう。
リスクが無いわけではない
ディフェンシブ銘柄は景気動向による株価の変動が少ないため、リスクの低い投資先と考えられます。
ところが、当然ディフェンシブ銘柄にもリスクが全く無いわけではありません。
景気動向による影響は受けにくいとはいえ、業界全体を揺るがすような出来事があった場合や、企業の不祥事が起きた場合など、何らかの原因により株価が下落してしまう可能性もあります。
また、暴落が起きていない場合でも、今後の成長も見込めないのであれば、長期的な株価下落につながります。
リスクが低く、長期投資に向いているからと言って、放置をして良いわけではありません。
ディフェンシブ銘柄に投資をした後は、投資先が順調に成長しているか、今後の成長の見込みがあるかなどを定期的に確認するようにしましょう。
保有し続けるべきではないと感じた場合は、必要に応じて売却する判断を下すことが大切です。
ディフェンシブ銘柄の主な株式
ディフェンシブ銘柄には、需要が安定している業種や、生活必需品を提供している企業の株式などが分類されます。
具体的な株式銘柄としては、以下のような銘柄が挙げられます。
- 【KO】コカ・コーラ(Coca-Cola)
- 【PEP】ペプシコ(PepsiCo)
- 【JNJ】ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)
- 【TMUS】TモバイルUS(T-Mobile US)
それぞれの銘柄について、詳しく見ていきましょう。
【KO】コカ・コーラ(Coca-Cola)
銘柄名 | コカ・コーラ(Coca-Cola) |
ティッカー | KO |
セクター | 生活必需品(Consumer Staples) |
株価 | 60.84USD |
時価総額 | 262,768,813.00千ドル |
PER | (連)27.62倍 |
PBR | (連)10.91倍 |
配当利回り | 2.95% |
取引可能な証券会社 | IG証券 SBI証券 楽天証券 マネックス証券 松井証券 auカブコム証券 |
世界的にロングセラーとなっている飲料「コカ・コーラ」を製造販売する企業です。
アメリカの企業であり、日本法人としても「い・ろ・は・す」や「紅茶花伝」などを取り扱っています。
アメリカの株式市場の全体的な値動きを示す株価指数「ダウ平均株価」を構成する30社のうちの1つです。
不況時にも配当金が減少しにくく、長期投資に適した銘柄のひとつです。
「投資の神様」のウォーレンバフェットが長期にわたって保有している株式としても知られています。
【PEP】ペプシコ(PepsiCo)
銘柄名 | ペプシコ(PepsiCo) |
ティッカー | PEP |
セクター | 生活必需品(Consumer Staples) |
株価 | 183.19USD |
時価総額 | 252,175,802.00千ドル |
PER | (連)41.74倍 |
PBR | (連)23.58倍 |
配当利回り | 2.66% |
取引可能な証券会社 | IG証券 SBI証券 楽天証券 マネックス証券 松井証券 auカブコム証券 |
アメリカのペプシコ社は、「ペプシコーラ」が有名な飲料メーカーですが、食品も主力事業のひとつです。
飲料事業では、炭酸飲料・スポーツドリンク・フルーツジュース・茶など幅広い飲料製品を提供しています。
ペプシコーラ以外にも、日本でも人気の「リプトン」をはじめとする多くの飲料人気ブランドを展開しています。
食品事業では、ポテトチップスやスナック菓子のほか、オートミールなどの朝食用食品などを製造販売しており、日本ではスナック食品の「ドリトス」が人気を集めています。
飲料および食品業界で重要な役割を果たすペプシコ社は、景気動向にかかわらず私たちの暮らしの支えとなっており、安定した収益と今後の成長が期待できるでしょう。
【JNJ】ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)
銘柄名 | ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson) |
ティッカー | JNJ |
セクター | ヘルスケア(Health Care) |
株価 | 172.99USD |
時価総額 | 449,595,750.00千ドル |
PER | (連)25.36倍 |
PBR | (連)5.789倍 |
配当利回り | 2.80% |
取引可能な証券会社 | IG証券 SBI証券 楽天証券 マネックス証券 松井証券 auカブコム証券 |
ヘルスケア業界のジョンソン・エンド・ジョンソン社は、アメリカに本社を置き、世界規模で事業を展開する多国籍製薬会社です。
製薬事業のほか、医療機器や消費財も手掛けており、絆創膏の「バンドエイド」や口腔洗浄液の「リステリン」などで、私たちの暮らしと健康を支えています。
多様な事業を展開している同社の株式をポートフォリオに組み込むことで、他の産業とのバランスが取れ、リスク分散の効果があります。
世界の高齢化が進む現代において、ヘルスケア業界は今後も需要が見込まれるため、業界全体の成長も期待できるでしょう。
【TMUS】TモバイルUS(T-Mobile US)
銘柄名 | TモバイルUS(T-Mobile US) |
ティッカー | TMUS |
セクター | 通信サービス(Communications) |
株価 | 139.12USD |
時価総額 | 174,537,459.00千ドル |
PER | (連)444.97倍 |
PBR | (連)7.17倍 |
配当利回り | – |
取引可能な証券会社 | IG証券 SBI証券 楽天証券 マネックス証券 松井証券 auカブコム証券 |
アメリカの携帯電話事業者「T-Mobile」は、最新のモバイル通信技術を利用した高速・高品質の通信サービスを提供しています。
通信サービスは日常生活に欠かせないものであり、景気変動による影響は少なく、安定した収益が見込まれます。
無制限データプランや割引プランなど、競争力のある価格設定がなされており、需要が安定している企業のひとつです。
世界の人口が増加する現代においては、今後のモバイル通信の需要拡大と、業界全体の成長が予想されます。
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ディフェンシブ銘柄に投資する際のQ&A
- ディフェンシブ銘柄への投資をするには、どのようなタイミングが最適ですか。
-
ディフェンシブ銘柄に長期的に投資する場合は、長期的に成長すれば問題が無いため、基本的にはいつ投資を始めても問題ありませんが、強いて言うなら、景気が悪くなる前にディフェンシブ銘柄を購入をしておくと良いと言われています。
景気が悪い時は、景気動向の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄への注目が集まります。
不況時には投資家が安定性を求めるため、暴落に対するリスクヘッジとして低リスクな投資先の人気が高まる傾向があります。
その結果として、不況時にディフェンシブ銘柄の株価が一時的に上昇する可能性があります。
ディフェンシブ銘柄が過剰に評価されてしまったタイミングで投資をした場合、景気が回復した際に株価の下落を招き、結果として損失を被ってしまいます。
このように、景気が悪い時期におけるディフェンシブ銘柄は、その株価と実態が乖離してしまっている場合があるため、景気が悪くなる前に購入しておくことが好ましいと言えるでしょう。
- ディフェンシブ銘柄は、景気動向の影響をまったく受けないのですか。
-
一般的にディフェンシブ銘柄は景気動向の影響を受けにくい株式銘柄を指しますが、ディフェンシブ銘柄でも景気動向の影響は受けてしまいます。
たとえば、景気の変動によりインフレーションが引き起こされると、原材料価格が高騰し、それが影響して企業の利益が減少してしまい、最終的には株価の下落を招く可能性などがあります。
ただし、このような下落は企業そのものに原因があるような業績の悪化ではないため、時間が経てば株価が回復する可能性が高いと考えられるでしょう。
長期的な投資を行う際は、株価の一時的な下落はあまり気にせず、株価の回復を待ちましょう。
長期的に成長する企業であれば、いずれ、株価は上昇します。
ディフェンシブ銘柄でも、景気動向が企業にどのような影響をもたらすか、長期的に成長する見込みがあるのかを予測したうえで投資を行うと良いでしょう。
ディフェンシブ銘柄まとめ
今回の記事では、ディフェンシブ銘柄について解説しました。
- ディフェンシブ銘柄は、景気の状況にかかわらず一定の需要が見込まれる
- 業績や株価が暴落しにくいディフェンシブ銘柄は、「守り」に強い
- ディフェンシブ銘柄は短期投資には向いていない
- 投資先に今後の成長が見込まれないようであれば、売却も検討するべき
- ディフェンシブ銘柄でも、景気動向の影響を受ける場合もある
ディフェンシブ銘柄は、低リスクで安定した成長が見込まれる銘柄ですので、長期的な投資に向いています。
将来の資産形成を考えるなら、ディフェンシブ銘柄は有効な投資先のひとつと考えられます。
ディフェンシブ銘柄への投資をしてみたい人は、取り扱い銘柄が豊富なIG証券の利用を検討してみてください。
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