仮想通貨PYUSD(PayPal USD)とは?特徴や将来性について徹底解説
米大手決済サービスのPayPalは、米ドル連動のステーブルコインPYUSDをローンチしました。
PYUSDは米国のPayPalユーザー向けに、PayPalを通して販売されます。
今後、米ドルの代替通貨として、決済や送金への活用が期待される通貨です。
今回の記事では、PYUSDについて解説していきます。
- PayPalが手掛ける仮想通貨PYUSD
- ステーブルコインであるPYUSDは、米ドルと連動する
- PYUSDは、米ドルの代替通貨として決済や送金に利用される
- PYUSDはPayPalがサポートする仮想通貨と交換できる
日本国内からPYUSDを購入する場合は、ユニスワップなどのDEXを利用することになる見込みです。
取引用の仮想通貨を事前に入手する必要がありますので、 コインチェックなどの仮想通貨取引所の公式サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。
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仮想通貨PYUSDとは?
通貨名 | PayPal USD(ペイパルUSD) |
シンボル | PYUSD |
現在の価格 | 0.991USD (2023年10月現在) |
時価総額 | 不明 |
時価総額ランキング | 不明 |
取引所有無 | 国内取引所の取り扱い無し |
詳細 | 公式サイト |
PayPal USDとは、アメリカの大手決済サービスPayPalが手掛ける独自の仮想通貨です。
2023年8月7日に発表されたばかりの新しい通貨であり、米ドルと連動しているペッグ型ステーブルコインです。
イーサリアムネットワーク上で発行されるERC-20トークンで、アメリカのパクソストラスト社によって発行されます。
PYUSDは、現時点ではアメリカのPayPalユーザーに向けて販売されており、送金・決済・仮想通貨との交換ができます。
PayPal上で米ドルの代わりとして使えるだけでなく、米ドルに備わっていない仮想通貨の機能も利用できます。
仮想通貨PYUSDの特徴
PYUSDの特徴を説明します。
米ドル連動型のステーブルコイン
PYUSDは、米ドルと1対1で引き換えが可能なステーブルコインです。
大手決済サービスのPayPalによって提供され、米ドルの預金や米国債、現金などに100%裏付けされています。
アメリカのPayPalユーザー向けの通貨
PYUSDは、アメリカのPayPalユーザー向けに発行されている通貨であり、基本的に日本国内居住者は購入ができないようです。
今後、PYUSDがDEXなどに流出した場合は、そこを通じてアメリカ国外から購入することも可能になるかもしれませんが、現時点ではPayPalのみで購入可能とされています。
決済や送金のための手段
PYUSDを保有している米国PayPalユーザーは、以下の機能が利用できます。
- PayPalと互換性のある外部ウォレット間での送金
- 商品やサービスなどの支払いにおける決済手段
- PayPalがサポートする仮想通貨との交換
アメリカのPayPalユーザーはPYUSDを利用して、買い物、第三者との取引、ほかの仮想通貨の購入・売却などができるようになります。
PYUSDには、手軽に送金や決済ができるという仮想通貨の特徴と、米ドルの代替通貨としてのステーブルコインの特徴が備わっています。
仮想通貨PYUSDの価格動向
チャート画像は、2023年10月11日におけるPYUSD/USDの値動きを表しています。
8月8日の1日の間に、0.03789USDから0.8278USDまで、2倍ほどの価格上昇を見せています。
なお、PYUSDは発表されたばかりであり、現時点では長期的な価格の動きが確認できません。
PYUSDは基本的に米ドルと連動しており、ほぼ1PYUSD=1USDのまま推移することとされています。
PYUSDは現金などにより完全に裏付けされているため、安定して価格を維持できる可能性が高いと考えられます。
仮想通貨PYUSDの将来性
PYUSDの将来性について解説します。
PYUSDは現金等に完全に裏付けられている
PYUSDは、現金などによる裏付けがあるステーブルコインで、安定性に期待できます。
- 大手金融機関PayPalが提供するコイン
PayPalは、決済・送金サービスの大手企業です。
大手金融機関がPYUSDのような独自のステーブルコインを発行する事例は、今回が初めてとなります。
また、PYUSDの発行元であるパクソストラスト社も、米仮想通貨金融サービス会社の大手です。
発行元が大手であることで、PYUSDの信頼性は保たれます。
- 現金などにより完全に裏付けられる
PYUSDは、複雑なアルゴリズムに依存しません。
過去にTerraUSD(UST)というステーブルコインが崩壊していますが、USTは複雑なコードに依存しており、現金などによる取り決め全体の裏付けはほとんどありませんでした。
USTのように複雑なアルゴリズムに依存しないPYUSDは、米ドル預金や米国債、その他の現金と同等の資産によって100%裏付けられます。
このことは、理論上、1PYUSDは必ず1USDの価値があることを意味しています。
アメリカ国外で普及する見通しは弱い
PYUSDがアメリカ国外で普及する可能性は弱いと考えられます。
そもそも、一般的な米ドルペッグ型ステーブルコインのメリットのひとつは、アメリカの外でも米ドルと同じように使える点です。
米ドルに連動するステーブルコインを保有することで、誰でも米ドルのように安定した資産の保有が可能で、必要に応じて決済や送金などに利用することも可能です。
国境を越えて入手・利用できる基軸通貨という点が、ステーブルコインのメリットのひとつです。
ところが、現時点でPayPal上のサービスを利用する際、PYUSDを利用できるのはアメリカ国内に限られており、アメリカ国外では基本的にPYUSDを利用できません。
この点において、アメリカ国外でPYUSDが普及する可能性は低いかもしれません。
今後、PYUSDが世界に普及するか否かは、アメリカ国外でのユースケース次第でしょう。
逆に言えば、アメリカ国外に普及する見通しが立てば、PYUSDの将来性は明るくなると考えられます。
仮想通貨PYUSDと比較される主なステーブルコイン
PYUSD以外にも、USDTやUSDCといった米ドルペッグ型ステーブルコインが存在します。
Tether(USDT)
テザー/Tether(USDT)は、Tether Limited社が運営する、米ドル連動型ステーブルコインです。
米ドルとの価格が離れにくく、価格が比較的安定しています。
アメリカの取引所を中心に、仮想通貨市場における基軸通貨として扱われています。
世界中で広く取り扱われており、他の仮想通貨に交換しやすい仮想通貨です。
USD Coin(USDC)
USD Coin(USDC)は、仮想通貨取引所Coinbaseとフィンテック関連企業Circleが運営する、米ドル連動型ステーブルコインです。
知名度はあまり高くないものの、2社の大手企業が運営しているため信用性は高いと考えられます。
決済や送金のほか、資産として保有しておくにも適した仮想通貨と言われています。
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仮想通貨PYUSDの危険性やリスク
PYUSDの危険性やリスクについて解説します。
約30種類のPYUSDの偽トークンが出現
新しいトークンが出回る時には、それに見せかけた偽のトークンも出現しやすいため注意が必要です。
PYUSDも例外ではなく、ロンドンに拠点を置くWebニュースサイトCointelegraphによると、PYUSDが発表されてから1日もしないうちに偽のトークンが続々と作成されました。
PayPalの発表後、「PYUSD」ティッカーを掲げる新しいトークンが、様々なチェーン上に約30種類ほども見られました。
PYUSDは、公式サイトにて記載があるように、PayPalがサポートしているウォレット間でのみ取引が可能であり、現時点で分散型取引所(DEX)に「PYUSD」として見られるトークンは偽物である可能性が高いでしょう。
これらの偽PYUSDトークンは、単に本物でないというだけでなく、「ハニーポット」である可能性もあります。
ハニーポットとは、「はちみつ(honey)が入ったつぼ(pot)」を表す様子から、侵入者をおびき寄せる罠を指しており、ハニーポットトークンは、購入はできるが売れないコインを意味しています。
多くの場合はトークンを売却しようとするタイミングで初めてハニーポットトークンということに気付くため、怪しそうなものであれば最初から購入しないことが重要です。
セキュリティ機能が疑問視されている
PYUSDシステムには、「asset protection(資産保護)」というセキュリティ機能が備わっています。
cryptorankの記事では、この機能には「freezing(凍結)」や「wipefrozenfunds(凍結資金拭き取り≒差し押さえ)」などが含まれていることが言及されています。
仮想通貨の基盤である分散型システムに則っているにもかかわらず、ユーザーの資産の凍結や差し押さえを可能にする機能は中央集権的と考えられ、疑問の声が上がりました。
このセキュリティ機能はいくつかのリスクが懸念されており、「centralization attack vector(中央集権化の攻撃ベクトル)」として批判されています。
ブロックチェーンにおける取引でありながらユーザーの資産の支配が可能になってしまうという矛盾について、リップル社のCTOデビッド・シュワルツ氏は公式エックス(旧ツイッター)にて、無意味な議論という立場を明らかにしています。
PYUSDは法的にUSDに換算されるものでなければならず、これを遵守することにより、PayPalが法的責任を負わない不正なトークンからユーザーを守ることができると述べています。
また、イーサリアム関連のWebサービス「The Daily Gwei」を運営するAnthony Sassano(アンソニー・ササーノ)氏も、この問題に関する投稿をしています。
ササーノ氏は、PYUSDが中央集権的システムであることは認めたうえで、そのような性質をもつPYUSDを使用するか否かはユーザーが選択できるものと述べています。
中央集権化の性質が備わったブロックチェーンシステムという矛盾については、結局のところ、「それが気になるなら使用しなければよい」というところに落ち着くのかもしれません。
仮想通貨PYUSDを購入するための取引所
PYUSDは、アメリカのPayPalユーザー向けに販売されているコインです。
日本国内からPYUSDを購入するには、ユニスワップなどのDEXを利用することになりそうです。
DEXでは日本円でPYUSDを購入することができないため、購入に必要な仮想通貨をあらかじめ用意しておきましょう。
取引用の仮想通貨は、コインチェックなどの国内仮想通貨取引所で購入が可能です。
各仮想通貨取引所について、詳しく紹介していきます。
- コインチェック(Coincheck)
取引所名 | Coincheck(コインチェック) |
取扱銘柄 | 27種類 |
取引手数料 | 無料 |
入出金手数料 | 無料 |
公式サイト | Coincheck(コインチェック)の公式サイト |
関連記事 | コインチェックの評判・口コミ |
コインチェックは、マネックスグループのコインチェック株式会社が運営する仮想通貨取引所です。
アプリのダウンロード数はNo.1(※1)、取り扱い通貨数は国内最大級(※2)の取引所です。
(※1)対象:国内の暗号資産取引アプリ、期間:2019年〜2021年、データ協力:AppTweak
(※2)2022年5月金融庁暗号資産交換業者登録対象、自社調べ
仮想通貨つみたてサービスや、貸仮想通貨のほか、独自のNFTマーケットプレイスCoincheckNFT(β版)など、幅広いサービスが提供されています。
興味がある人は、 コインチェックの公式サイトをチェックしてみてください。
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仮想通貨PYUSDの購入方法/買い方
PYUSDは日本の仮想通貨取引所には上場していません。
また、CNBCの記事にもあるように、PayPalは、PYUSDはPayPalを通してのみ購入できるとされています。
ただし、PayPalから購入されたPYUSDが今後、ユニスワップなどに流出する可能性はあります。
ここでは、ユニスワップにおけるPYUSDの購入が可能になった場合を想定して、その購入方法を解説します。
取引用の仮想通貨を購入する
まずは、国内の仮想通貨取引所で口座を開設します。
PYUSDは日本円で購入することができないため、あらかじめ取引用の仮想通貨を用意します。
コインチェックなどの国内取引所で口座を開設したら、取引用の仮想通貨を入手しましょう。
また、取引用の仮想通貨に加えて、手数料として少額のイーサリアムを用意しておきます。
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ユニスワップとウォレットを連携
ユニスワップ単体では取引をすることができないため、Metamaskなどのウォレットアプリと連携させておきます。
連携したら、用意しておいた仮想通貨・手数料用のイーサリアムをウォレットに入金します。
ユニスワップ上でPYUSDを購入
入金が完了したら、ユニスワップ上でPYUSDを購入します。
購入の元手となる通貨と、購入する通貨(PYUSD)を入力し、手数料のイーサリアムを支払って決済します。
ユニスワップ上でPYUSDの購入が可能になった場合、ここまでの流れでPYUSDを入手できるでしょう。
ただし、現時点で偽物のPYUSDトークンが多く作成されていることには注意が必要です。
ユニスワップなどのDEX上では本物のPYUSDトークンを見分けることが難しく、また、現在DEXで見られるPYUSDトークンのほとんどは偽物である可能性があるため、疑わしいものは購入しないようにしましょう。
仮想通貨PYUSDに関してよくある質問
- 海外の仮想通貨取引所では、PYUSDが取り扱われていますか。
-
Yahoo!ニュースの記事によると、海外の仮想通貨取引所としては、2023年8月8日にHuobi(フォビ)が、PYUSDを取り扱うことを発表しました。
日本人向けに提供されている「Huobi Japan(フォビ・ジャパン)」の取引所もありますが、今回PYUSDを取り扱うのは海外向けの「Huobi Global(フォビ・グローバル)」です。
PYUSDの発行が開始されたのが2023年8月7日ですので、その翌日にHuobiがPYUSDの取り扱い予定を発表したことになります。
取引所としては世界で初めてPYUSDを取り扱うとされており、2023年8月11日時点ではHuobi以外にPYUSDが上場する予定の取引所は発表されておりません。
Huobiでは、PYUSD/USDTの通貨ペアを提供する予定となっています。
- 日本国内居住者にとってのPYUSDの使い方としては、どのようなものが想定されますか。
-
日本国内居住者にとって、PYUSDの使い道はあまり無いと考えられます。
CoinDeskの記事によると、PayPalは決済アプリの「Venmo」を通じてPYUSDを使えるようにしています。
Venmoはアメリカ以外では利用不可のサービスとなっており、VenmoにおけるPYUSDは、アメリカのユーザーがデジタルデータとして米ドルを扱うための方法のひとつとなります。
「PayPal上に資金を持っているが、何らかの理由でそれを引き出すことができない」というような状況であれば、PYUSDの出金を通じてその資金を引き出すこともできるかもしれませんが、このような特殊な状況が当てはまる人はほとんどいないでしょう。
Venmoの利用対象国ではない日本の居住者にとっては、PYUSDを保有していても、それを活用して何らかのサービスを利用するといった使い方はできないと考えられます。
USDTなどの一般的なステーブルコインとして保有する価値はありますが、現時点では、日本国内居住者にとってのPYUSDの使い道はあまり無いようです。
【まとめ】仮想通貨PYUSDとは?
今回の記事では、PYUSDについて解説しました。
- PYUSDは、2023年8月7日に発表されたばかりの新しい通貨
- PYUSDはアメリカのPayPalユーザーに向けて販売される
- 現金などに完全に裏付けられるPYUSDは安定性に期待できる
- 複数のPYUSDの偽トークンが見つかっている
PYUSDはアメリカのPayPalユーザーを対象に販売されることとなっており、現時点では日本の取引所での取り扱いはありません。
今後、日本から取引するとしたらユニスワップなどのDEXを利用することになりそうです。
DEXで取引するには、事前に取引用の仮想通貨を用意する必要があるため、 コインチェックなどの取引所をチェックしてみてください。
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